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呪縛

誰しも、長く生きていると「この世から消えて欲しい」と思うほど嫌いな人物に巡りあうことがある。私もある。嫌いな人に対して「消えろ~消えろ~」と念じていたら、その人が急に体調が悪くなったという事もある。ただの偶然だが…。でも、人間の念は時に恐ろしいパワーを発揮するし、「人を呪わば穴二つ」という言葉がある通り、邪(よこしま)な念は自分の墓穴をも掘る結果になるので気をつけねばならない。最近、気がついたのだが、長く生きてない子どもでも嫌いな人物を排除したいという思いはあるようだ。「学校から〇〇さんがいなくなればいいのに~!」「そういうこと言うと、お母さんに叱られるよ。」子ども同士の会話。親ならば「そんな事を言ってはダメよ!みんなと仲良くしなさい!」と言うのかもしれない。子どもは親の思う「良い子」になろうと努める。年齢を重ねるごとに「他人を嫌う自分」を心の奥底に封じ込め「みんなと仲良くする自分」の仮面をかぶり始める。そして虚像と実像の間で苦しむ。他人に対する嫌悪感や嫉妬心や競争心…その気持ちが悪いのではない。そこから生まれてくる自分本位な願いが邪(よこしま)なのだ。それは隠そうとすればするほど大きく膨れ上がって、自分を縛っていく。子どもの中にもある他人を嫌う気持ち…それを否定せず認めてあげることや場所も必要なのかもしれない。(写真:「あったかいもの」のワークから)